インパラの朝 中村安希/著 集英社 を読んで

中村安希様

旅の記録は断片的ではあるものの、現地が日本にはなじみが薄い地域であるが故に、貴重な記録だと思います。このような断片的情報がもっと紹介されればいいと思う。ただ、中村さんのとらえ方に、資本主義を疑う観点がないのが残念です。アフリカの貧困を疑うというようなことをおっしゃいますが、ヨーロッパ人によるアフリカの侵略から今の状況がある、という歴史の観点が抜けているのではないでしょうか?世界システムの中でヨーロッパとアフリカは対等ではありません。アフリカに貧困があるとすれば、資本主義を押し付けた先進国にその責任があり、それは先進国の問題です。それなのに、援助をするとアフリカ人が怠ける、と心配することは、資本主義を押し付けることの延長ではないでしょうか?とはいえ、先進国が資本主義をすぐに捨てることはないでしょうし、色々な議論はあって良いと思います。いい本をありがとうございます。

(中村安希さんのブログへのコメント。)
図書館の書評も同内容だったのですが、以下の文を2月11日に付け加えました。

というのが感想だったが、しかしよく考えてみると、支援を拒否することが資本主義とたたかうことだと著者はととらえているのであり、支援が侵略の歴史の延長であることも述べている。支援をしないという言葉に私は抵抗をもったが、それは弱肉強食の資本主義の中で見捨てるというのではなく、先進国の影響を追いやって、違う価値観で自立させるという意味だ。これは、本の後ろに記載のある著者のブログを読むとよく分かる。本よりも、その元になったブログの方が面白い。本は、長いという印象を受けるが、それがコンパクトにまとめられたものだということも分かります。(笑)


(池田市立図書館書評)
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by OkawGhumpe | 2010-01-29 05:13 | 図書館書評
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