前回の記事の中の平松二三代さんに呼びかけた部分は、平松さん宛てにメールで送っています。
平松さんの経営するひつじ書房 平松さんへ宛てたメールの全文 平松二三代様 九月二十三日に大阪の池田市立小学校で開かれた「ちいさな絵本館」開館行事のご講演を拝聴した大川純平と申します。同館のボランティア職員をしております。 お話をありがとうございました。 さて、そのお話につきまして思うところがあり、私の個人のブログに書かせて頂きました( http://okawghumpe.exblog.jp/11353830/ )。平松さんに宛てた文章もありま すので、その部分を以下に引用し、お伝えしたいと思います。 ・ ・ ・ 六日前の開館行事では池田市立小学校で平松二三代という人の講演があり、登場する大人が嫌な人ばかりの絵本は望ましくない、という話をしていた。子供に戦争などの重い主題の絵本を勧めるのは良くない、ともこの人は言っていた。 この平松という人が絵本読み聞かせをしている人には人気があるらしいのです。 相方の職員も、このちいさな絵本館はお勧めできる本をそろえておく所だから、と言って、町の本屋ではない旨を言い、ここに揃えている本を読めば、「なぜその本(引用者注。『もじゃもじゃあたまのナナちゃん』。)が駄目なのか分かるようになる」とも言った。 (中略) 平松さんの言ったのは、何が良いかと聞かれた時に戦争のような重い主題の本を勧めると本嫌いの子になる可能性がある、小さい子には平和の恵みを与えてこそ大きくなった時に戦争の悲惨さが分かる、ということだった。 私も子供を対象にした平和運動には反対の立場だし、基本的には賛成できる。勧める時に「良い本」と「悪い本」の区別をつけるのも、その人の考えだろうから、あえてそれを批判しようとはしなかった。 しかし「良い本」と「悪い本」を分け、排除するやり方はやはりきちんと批判しておくべきではなかったか、と思う。 私は「あなたの思う良い悪い」に過ぎないと思っていたが、あなたが「良い悪い」という言葉を使うと、それを拠り所にして排除を行おうという人が出てくるのだ。 まず平松さんの主張を批判する。あなたの思う「良い本」とは「良い大人」が出てくる本だが、それは現実を反映していない。子供は大人との距離感を感じるものです。あなたの理想の大人べったりの子供の世界からは、大人を批判する精神が見えてきません。 良い大人が現実だなんて、平和だなんて、あなたは一体どんな世界に住んでいるのか?軍隊による殺人は絶えないし、外国でのそれを認めているのが日本の有権者です。軍事国家アメリカ言いなりに基地を提供している日本が戦争に無関係だなんて誰も思わないだろう。また、コンゴなど外国から資源を輸入する限り、その地での紛争に無関係というのもありえない。紛争は資源をめぐって起こるものだからです。 戦争で死ぬ人はほとんどいない、しかし毎年三万人以上の人が自殺しているのが日本です。過労死が絶えず、過労が嫌なら貧困層になるしかない、という格差の激しい現実。子供でさえも競争にさらされている。親の貧困が子供に影響を与えていることはあなたも知っているでしょう。 あなたがこれらのことを考えないとしたら、よっぽど恵まれた境遇にあるのでしょうね。 子供に対してこれらのことを隠すのは嘘をつくことです。 私も、あえて子供にこれらの知識を押し付けるつもりはありません。しかし私が何に悩んでいるかは子供に示して良いと思う。あなたのように「悪い本」と決め付け、勧められない本として分類すると、それが不可能になる。子供に「私は何を考えているか」を自然に示すことができなくなるのです。 実際に、あなたにとって「良い本」と「悪い本」ときっぱり分けられる本があるのでしょうか。あるのでしょうね。あなたが自分にとっての「良い本」「悪い本」と分けるのは自由です。それは単なる好みです。 しかしあなたが「良い」「悪い」云々と分けているのは子供にとっての本です。あなたのための本ではありません。 あなたが思う「良い」「悪い」を押し付けていることを自覚しているのですか? 人に勧めるにあたっては多かれ少なかれそういう部分はあります。 しかしそれならなぜ「良い」「悪い」と大真面目に言うのか? あなたの言う「良い」「悪い」の影響力を自覚して欲しい。 あなたは子供の選択肢を狭めるほど賢いのですか?「私の思う良い本」と控えめに言わずに、「これは悪い本」と排除するほどにあなたは物事の良し悪しが分かっているのですか? 私は、あなたは分かっていない、と思う。 子供はあなたが思うほどに馬鹿ではないし、あなたもあなたが思うほどに賢くはない、と最後に言わせて頂きます。 ・ ・ ・ 引用は以上です。 「悪い本」を排除するそのやり方を改めていって欲しい、と願います。 絵本を読み聞かせる人に、あなたの思う「悪い本」を排除することを勧めるのは、止めて頂けないでしょうか? 大川純平 以下の広告は私の文章ではありません。↓
by okawghumpe
| 2010-10-02 21:27
| 書評以外の日本語
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